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特集妊婦禁忌薬 本当に使えない?NHK12月05日 20時30分
妊娠中、病気になってもおなかの赤ちゃんへの影響を考えて、薬を飲まずに我慢した経験がある女性は多いのではないでしょうか。出産年齢が高齢化し、慢性的な病気を抱えながら妊娠を希望する女性も増えていると専門家が指摘する中、議論になっているのが「妊婦禁忌薬」。胎児などへの影響から薬の添付文書で妊娠中の女性には、投与しないこととされた薬です。服用すべき薬が「妊婦禁忌」とされたことでおきている深刻な実態を科学文化部の信藤記者が取材しました。
医師から聞いたときは、目の前が真っ暗に神奈川県の前田綾子さん(仮名)は、18歳だった高校2年生のとき、潰瘍性大腸炎と診断されました。大腸の内側の広い範囲に炎症がおきたり潰瘍ができたりする難病で、激しい腹痛と下痢が一日中続きます。通学途中、自宅からバス停まで歩く10分間にも激しい腹痛に襲われて動けなくなったり、卒業後、就職先の会社に通うのにも何時間も前に電車に乗って、途中何度もトイレに入り、腹痛をがまんするといった生活が続きました。
そんな前田さんにとって救いとなったのが、医師から処方されたアザチオプリンという薬でした。 苦しみ続けた症状がようやく改善。資格を取得する専門学校に通い始めたり、交際中の男性との結婚も考え始めたりすることができるようになったといいます。ところが、結婚の事を医師に話したところ「飲んでいる薬は、『妊婦禁忌薬』だから、妊娠すると胎児に異常が出るおそれがある」と告げられたのです。「子どもを産みたいという気持ちがあったのでとてもショックで、どうすればいいのかわからなかった」と前田さんは、当時の気持ちを話します。
前田さんは、その後25歳で結婚。どうしても子どもが欲しいと、薬を飲むのを止めました。すると再び症状が悪化。激しい腹痛に襲われ入退院を繰り返すようになりました。 「この薬を飲んでから体調がよかったのに、この薬を飲んでいては妊娠はできないっていうふうに言われ、いったい、どうしたらいいのか」前田さんは、何年も悩み続けたと言います。
「禁忌」に悩む女性たち東京・世田谷区の国立成育医療研究センターにある「妊娠と薬情報センター」には、薬を飲んだものの赤ちゃんに影響はないのか、不安になった妊婦からの相談が年間およそ2000件寄せられています。持病の治療に禁忌薬の服用が欠かせないため、妊娠を諦めるべきかという相談も少なくありません。
妊娠と薬情報センターの村島温子センター長は「薬への不安が原因で中絶したという人は最近でもいて、決して昔の話ではありません。飲んでいた薬が妊婦禁忌薬だったと知り、本人のみならず家族までが過度に心配して、妊娠継続を諦める方向に行ってしまうこともある」と指摘します。
海外と比べて多い「禁忌」「妊婦禁忌」は、動物実験などのデータをもとに胎児への影響の可能性があると判断した場合、製薬会社が薬の添付文書に記載します。しかし、日本では海外に比べ、妊婦の禁忌薬が多いと指摘する専門家がいます。筑波大学の濱田洋実教授です。
濱田教授は、日本とアメリカで使われている心臓病など循環器系の薬400種類を対象に調査。その結果、日本で禁忌とされていた薬は、このうち102種類だったのに、アメリカでは5分の1の18種類しかありませんでした。
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