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ビジネス
特集外国人旅行者の獲得合戦 第2ステージにNHK8月30日 18時20分
町なかや駅前に用意された自転車をレンタルして、ちょっと近くまで移動する―。「自転車シェアリング」を利用したことがありますか? 「見たことはあるけど普及はまだまだでしょ」と思う人が多いのではないでしょうか。ところが、このサービスを手がける世界有数の企業が先日、日本で事業をスタートさせました。その企業とは自転車大国の中国のベンチャー企業「モバイク」。進出したのは中国人に人気の観光地、札幌市。北の大地で始まった中国系企業による新事業。その背景を取材してみると、いわば“第2ステージ”に移りつつあるインバウンドの姿が見えてきました。
(札幌放送局記者 北井元気)
札幌にオレンジの自転車現る8月22日、札幌市の中心部で盛大な式典が行われました。この日から札幌市内で自転車シェアリングのサービスをスタートさせた中国・北京のベンチャー企業「モバイク」の式典です。 自転車シェアリングとは簡単に言うと、レンタカーの自転車版です。駐輪スペースなどに置かれた専用の自転車を料金を支払って一時的に借り、使い終わったら返すというサービスで、都市部や観光地で見かけたことがある人も多いと思います。 札幌市ではこれまでも地元のNPO法人が自転車シェアリングを手がけていましたが、今回、企業が初めて本格的に参入します。
シンボルカラーのオレンジ色が印象的なモバイクの自転車。中国では高い知名度を誇っています。去年4月に事業を始めて、わずか1年余りで中国国内を中心に160都市以上で自転車シェアリングを展開し、利用に必要なアプリの登録者数は実に1億人を突破しました。 NHKのインタビューに対しクリス・マーティン国際展開本部長は「日本人がSNSのラインを使うのと同じくらい、中国人はみんなモバイクの使い方を知っている」と事業の成功に自信をのぞかせていました。
IT活用し便利で手軽に モバイクの売りはITを活用した便利さと手軽さです。利用者はまずスマートフォンで専用のアプリをダウンロードします。自転車には位置情報を示すGPSが取り付けられていて、アプリを起動させるとスマートフォンの画面上に利用可能な自転車が、どこに何台あるのかが表示されます。 さらにスマートフォンで自転車の車体に取り付けられたQRコードを読み取るとロックが外れ、料金はアプリで決済することができます。
これまでのサービスでは多くが専用のカードを購入するなど、手続きにひと手間かけなければなりませんでした。これをスマートフォンだけで利用・決済できるようにして利便性が飛躍的に高まったと会社は胸を張ります。
料金は当面の間、30分間で50円。この日、開かれた一般向けの体験会に参加した22歳の大学生は「授業のあとに町なかに出るときは、これまで地下鉄を使っていたが、これからはこのシェア自転車を使ってみたい。見た目もおしゃれでSNS映えしそうだ」と話していました。
なぜ北の大地でスタート? それにしても、モバイクは東京ではなく、なぜ札幌市を事業スタートの地に選んだのでしょうか?
マーティン国際展開本部長は、行政や企業の協力がスムーズに得られたことに加えて、札幌市が中国の人たちの間で、旅行先として人気の高い観光地だという点を挙げています。「札幌は政令指定都市で十分なサイズがあるし、中国など海外でも非常に有名な、みんな行きたいと思う町だ。札幌に来た時はモバイクとスマホアプリ使ってもっと自由に動いていただける」とー。
観光庁が発表している「宿泊旅行統計調査」では、去年、北海道の外国人宿泊者の数は655万人(延べ/推計)と、数は東京や大阪に次いで3番目。この5年間の伸び率では北海道が3.25倍と東京の2.17倍を大きく上回ります。
さらに札幌市が独自に行っている調査では、市内を訪れた外国人旅行者全体のうち、中国や台湾からの旅行者が実に半分近く(45.7%)を占めているのです。
モバイクの日本進出は、中国で知名度の高い企業が、中国の人たちに人気の観光地、札幌市でビジネスを展開するという構図と見ることもできます。上海から札幌市に観光で訪れていた親子は「モバイクはとても有名で、上海の至るところで見かけます。札幌を訪れる中国人がもっと増えると思います」と話していました。
モバイクは今後、同じく中国からの旅行者が多い福岡市などで事業を展開することを計画しています。
訪日中国人を追いかける中国企業もちろんモバイクは中国の人たちだけをターゲットにしているわけではないのですが、日本を訪れる中国人の需要を追いかけるようにして、中国企業が日本に進出する動きがこのところ相次いでいます。 まず中国最大級の民泊サイトの運営会社「途家」が8月、日本市場への参入を表明しました。この会社は世界70か国で50万件以上の民泊物件を取り扱っています。
会見では「2025年には日本を訪れる中国人は1350万人まで増える。中国人が利用する民泊市場の50%のシェア獲得を目指す」と大きな目標を掲げました。 また、中国で4億人以上が利用していると言われる電子決済サービス「アリペイ」も、日本でサービスを急拡大させています。専用のアプリをダウンロードしてQRコードを店側に読み取ってもらうだけで、中国にいるのと同じように買い物の支払いを済ますことができるこのサービス。
ことしに入ってコンビニ大手「ローソン」の全店で対応可能にしたほか、北海道の旭川空港の土産物売り場などでも利用できるようにして日本でビジネスの足場を着々と築いています。
インバウンドは第2ステージに 日本を訪れた外国人旅行者による消費=インバウンド消費の伸びが顕著になったのは今から5年前。とりわけ中国人の「爆買い」はその象徴でした。北海道でも中国や台湾から来た大勢の旅行者が商業施設や観光地を訪れ、旺盛な消費は北海道経済の下支え役にもなりました。
今、政府は2020年までに訪日外国人旅行者の数を4000万人に増やそうという目標を掲げていますが、“人”だけでなく、外国人旅行者を取り込もうと外国企業や海外のサービスもどんどん日本に上陸してくる可能性があります。
札幌をスタートの地にしたモバイクの日本進出は、インバウンドが第2ステージを迎え、これから日本企業と中国など外国企業との間で旅行者の取り合いが始まることを示しているのかもしれません。今後、日本の行政や企業はどう向き合っていくのか。目が離せません。
札幌放送局 記者北井元気平成26年函館放送局に配属
7月から札幌放送局へ
北海道庁を担当
来源: 外国人旅行者の獲得合戦 第2ステージに |